猫月に収録されている「トラウマ」のピアノ譜です。
ためいきより以前に、何度も何度も弾いたピアノ伴奏です。
楽譜はあたしの頭の中にあって、
何年経っても心が覚えていて、
ちゃんとあたしの指が動いてくれるので、
譜面にしたことは一度も無かった。
CDを作るのとはやっぱり違う。
作るつもりの無かったものを作っている不思議な感覚。
鳴っているはずの音を探して、そこに吸い寄せられるような直感型作業ではなく、
普段弾いているものを冷静に分析して平均値を探し、それを文字に起こすような左脳作業。
使っているのは音符や記号だけど、楽譜は文章や数式に近いイメージ。
でもこの共通言語があるおかげで、あたしたちは音楽ができているんだな。
楽譜が残っているおかげで、
あたしたちは今でもベートーヴェンやシューベルトやバッハを弾いたり聴いたりできるんだよね。
あたしの頭の中にしか無いものを、人を感動させるためというわけではなく、
自分が救われるためというわけでもなく、人に共有するために、形にする。
それでも、
あたしじゃない誰かに弾いてもらえるなら。
もしかしたら、いつかその人が別の誰かを救ってくれるかもしれない。
だから、
あたしの代わりに、その人のそばに寄り添ってあげるために、行っておいで。
そういう気持ちで、作ります。

